2006年12月30日
《2006年Best Movie》『グエムル 漢江の怪物』
ひねもす雑記
2006年度のベスト・ムーヴィーと言っても、実は選ぶほどたくさんの映画を観に行けたわけじゃない。やっぱ年間200本は観てないと発言出来ないんだけど、ま、いいか。
ブライアン・デ・パルマ監督の『ブラック・ダリア』の冒頭14分の緊張感も気になったけど(後半は見事に破綻しまくりで、その無頼ぶりは健在)、1本だけ選べといわれたら…

『グエムル 漢江の怪物』
今年はコレで決まりでしょう。
『殺人の追憶』のポン・ジュノ監督が、怪優ソン・ガンホと組んで怪物映画を作るというだけで大喝采(大爆笑)。
本当は怪獣モノとは呼んじゃいけなくて、ミュータントものね。という話はともかく、予想通りの快作だった。もちろん一筋縄でいくワケなんてなくて、観客も制作者も騙しまくり。見せ物小屋のような虚仮威しだけのミュータント・キャラの出来映えも見事で、微妙に安っぽいSFXも、すべて綿密な計算によるものだと思う。

パニック、アクションという映画の常套タームを見事に裏返しにして、馬鹿一直線に走しきるシナリオが秀逸だった。それを真面目に演じるフリをする出演者達も、実に曲者ぞろい。これぞ、極上の娯楽映画なのだ。

中でもダントツに光り輝いているのが、ペ・ドゥナ。最初から最後まで、彼女だけを見つめ続けていたいほど。終始、ヨレたジャージの上下に顔は泥まみれ。ソン・ガンホと同じように、直角の馬鹿さに全力で猛進する姿が、たまらなく美しかった。その小汚い系の美しさは、JLGの『中国女』(もしくはPPPの『テオレマ』)におけるアンヌ・ビアゼムスキーに匹敵する。
結局のところ、劇的な物語性などどーでもよくって、一匹のモンスターと5人の主演者たちをどう動かしていくのか。そして、どのように楽屋落ちギリギリのトボけた映画美をインサートしていくか。この希代の詐欺師ぶりこそが、ポン・ジュノ監督の最大の魅力だと思った。
投稿者 小川真一(editor-in-chief) : 14:13 | コメント (0) | トラックバック (0)
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