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「いま、再発ディレクターは何を考えているか?」
再発盤を企画するディレクターに直撃取材。その秘密の裏側に迫る「再発ネット」独占インタビュー。
記念すべき弟一回目は、再発盤業界では知らない人はいないヴィヴィド・サウンド・コーポレーションに所属する遠藤敬太郎さんのご登場です。
名前:遠藤敬太郎さん
所属会社:ヴィヴィド・サウンド・コーポレーション
担当部署:制作部(マスクラット・レコード担当)
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■これまでご自分で手掛けられたアルバム(再発盤)の中で、一番の自信作、もしくは思い入れの深い作品といえば何でしょうか?
「自信作」というのは難しい質問ですね。僕たちの仕事は、ある意味で謙虚でなければならないと思っているから。つまり1枚のアルバムがあって、それが面白いか、つまらないかを決めるのは、そのレコードなりCDを買ってくれた聴き手であるということ。このことはいつも、頭の片隅にでも置いておかなければならない。
もちろん「自信作」はあるんだけれど、それは自分の胸のうちにしまっておこうと(笑)。
自信作というのではなく、最近手がけたなかで思い入れの深い作品ということで話をさせてもらうなら、たとえば70年代に2枚のアルバムを出して表舞台から消えてしまったジェフ・ハリントンというミネアポリスのシンガー・ソングライターがいるんですけど、僕はつい最近までその人の存在すら知らなかった。
昨年その人のことを渋谷にある中古レコード・ショップ、ハイファイ・レコードのオーナーである大江田信さんに教えてもらって、お店でアルバムも聴かせてもらった。これをなんとかCD化できないものかということになって、お店のスタッフである松永良平さんも加わって、シリーズ企画「ビター・スウィート・アメリカ」をスタートさせました。
シリーズ名を付けてくれたのは松永さんで、現在まで(2007年6月時点)9タイトルをリリースしています。アメリカのローカル・シーンで作られた、つまり本国でもそれほどポピュラーではない作品やアーティストを日本でシリーズ化して紹介しようなんてことは、冷静に考えればまともなレコード会社の担当者はやらない(笑)。
少なくとも洋楽の再発に関して、日本のたいていのレコード会社はそんな論理で動いていないから。でも手がけている私自身、このシリーズは作品毎に新鮮な発見や驚きの連続だったりして、その意味で思い入れというか愛着は深いですね。
■再発盤を企画される上で、一番心がけられていることは?
ジャンルや内容、その他の細かい理屈は抜きにして、やっている自分自身が心から楽しめること、それだけです。
■この業界に入られることになったきっかけは?
ヴィヴィド・サウンドの前身に芽瑠璃堂という輸入レコード店があって、都内で吉祥寺と渋谷に店舗を構えていたんですが、学生時代に静岡から上京してきたクラスの洋楽好きの友人に、面白いレコード屋があるからと教えてもらったのが吉祥寺店でした。家が近かったこともあってよく通うようになったんですが、あるときエリック・アンダースンの『ブルー・リヴァー』をレジにもっていったら、店のスタッフに「いいレコードだよね」とかなんとか言われた。レコード店でそんな風に話しかけられたことはそれまでなかったから、ずいぶんと昔のことなのにいまでも記憶に残っているんです。
大学卒業後しばらくは、音楽とまったく関係ない、大阪に本社がある家電メーカーに就職していたんですけど、結局いまこうしてヴィヴィド・サウンドで仕事をしているのは、突き詰めて考えると、あのときのスタッフのひとことがあったからかもしれない。誰だったのかな。僕がヴィヴィドに入ったころには、芽瑠璃堂もなくなっていたし、そのときのスタッフもすでに居ませんでしたけど。
■今後予定されているアルバムの中で、特にオススメしたいアルバムは?
「ビタースウィート・アメリカ」の新作として、先のラインナップにファースト・アルバムを入れたゲイリー・オーガンの2作目『レット・ゴー・ザ・ハート』(82年)、そしてそのオーガンと同じオレゴン州を拠点に活動するシンガー・ソングライター、ジャック・マクマホンのファースト・アルバム『ベター・レイト』(83年)の2枚が待機中です(今秋発売予定)。
■再発CDのファンの皆さんに一言。
これまである程度評価の定まった作品も、先入観なしにあらためて聴いてみると、全然違った印象を受けたりすることがよくあります。プログレ・バンドだと言われているのにアルバムによっては全然ポップだったり、ひと昔前の歌謡曲が今、ムチャクチャ新鮮でカッコよく思えたり。そんな個人的な発見は、再発CDを聴く大きな楽しみのひとつだと思うし、そういった体験は、よくある名盤ガイドや雑誌のレビューからはなかなか得られない。そこにはある程度の経験も必要だし、だから再発CDを聴くのはやめられない。自分で言うのも何ですけど(笑)。そんな発見の喜びや楽しさを、自分の手がけた再発CDを通して、多くの人たちが共有してくれたら嬉しいのですが。
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■ヴィヴィド・サウンド・コーポレーションとは
芽瑠璃堂という店は、一般的にはあまり知られていないけれど、スタッフが「これはいい」と思ったレコードを海外から輸入して、コアな洋楽ファンに向けて紹介しきました。現在のヴィヴィド・サウンドは、洋楽そして邦楽、再発から新録ものまで、各制作ディレクターの手がけるものは、ジャンルも多様ですが、かつての芽瑠璃堂のスタンスは、インディーズ・レーベルの老舗としての現在のレーベルにも受け継がれているのではないかと思います。
詳しいリリース情報などを知りたい方は、ぜひ会社のHPを覗いてみてください。
ヴィヴィド・サウンド・コーポレーション |
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