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『歌謡曲の時代』阿久 悠著 新潮社刊
[発売日:2004/09/16]
[定価:1,470円]
8月1日にこの世を去った阿久悠。作詞家としての膨大な作品群はご存じの通りだと思うが、作詞作品だけでなく著作がまた多い。これほどまで、自作詞ならびに歌謡曲について語った人物は他にいないだろう。つまり作詞家であると同時に、偉大なる歌謡イデオローグでもあったわけだ。
その原動力は、底知れないルサンチマンであり、得体の知れない飢餓感だったように思う。書きまくる姿を「阿久悠の唾が飛んできそうだ」と表現したことがあるが、その実、出来上がった作品は意外なほど爽やかなものが多い。情念に突き動かされているようで、セルフ・プロデュースが得意。これは広告代理店時代に培ったものなのか。
この『歌謡曲の時代』にしても、自分自身が築き上げていった歴史を自身で解説していく。この幽体離脱のような感覚こそが阿久悠あり、世界を見下ろしながら言葉を刻んでいったのだ。ともあれ今後とも、日本語で語られた言葉を考えるうえで阿久悠の存在を素通りすることは出来ないと思う。
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