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40代からのロック再発見

英ロックの文化遺産〜Greasy Truckers Party
by 白谷員朗

ココのところの英国本家EMIにおけるブリティッシュ・ロック関連のCDリイシューの充実には目を見張るものがありますが、今回またまたレアな一枚が再発と相成りました。

この「Greasy Truckers Party」は72年に行われたイベントで、当時発売された2枚組のLPにはマン、ブリンズレー・シュウォーツ、ホークウィンドといった発売元であるユナイテッド・アーティスツ所属アーティストを中心とした当日のライヴ音源が収録されています。特にこのアルバムは日本で人気の高いニック・ロウの在籍していたブリンズレーズのレア音源収録ということで知っている人が多数だと思います。先日某所でこの再発を話題にしたところ「ブリンズレーの音源だけでいいので単独で安く出して欲しい」との返答が帰ってきた、、、むむむ。ちょっとちょっと!!!

まあ確かに現在ここにいるアーティストを全て同等に聴くリスナーというのもそんなにいないとは思いますが、このアルバム自体が当時の音楽シーンのドキュメンタリーとしても非常に興味深いものなんですからねぇ。その辺、大幅に音源を追加してしっかりとしたライナーもつけて再発した英国EMIは文化的価値というのをしっかり意図していると思うし後追いである音楽ファンには大変嬉しいことですね。

そもそも"Greasy Truckers"という組織自体殆ど知られていないから無理もありませんが、ライナーによりますと「アンダーグラウンド・コミュニティにおいて価値ある事柄に対して還金をしていく個人的なルーズな(笑)団体」とあります。「ルーズな」と解説されていることもあってか、なかなか活動は伝えられていませんが、翌年にはゴングやキャメル、ヘンリー・カウといったプログレ・バンドを中心としたイベントが開催され同様にアルバム「Greasy Truckers Live at Dingwalls Dance Hall」(Virgin/Caroline)も発売されています。また近年でも当時とどれくらいの係わり合いがあるかは分かりませんが、ホークウィンドのニック・ターナーやドクター・オブ・マッドネスのリチャード・ストレンジ、ジョン・ピールのレーベルからデビューしたトラクターらが参加した「Greasy Truckers Party 2002-2003」(CD-R、インディーのOZit Morpheus Records)というアルバムも発売されています。

ここでキーワードとなってくるのが「アンダーグラウンド」という言葉。この「Greasy Truckers Party」に収録されているアーティストは現在細分化されたジャンル偏向のリスナーからは音楽性が異なることから一緒に聴かれることも少ないのでしょうが、72年当時音楽シーンのメインストリーム(グラム・ロック全盛!)に対して同様にアンダーグラウンドな存在であり、共通したシーンでの活動であったという事実はこのアルバムを語る上で重要なことであります。そして後年そのアンダーグラウンド・シーンにいた彼らを追ってみると、ブリンズレーズのニック・ロウはスティッフ・レコードを中心に、ソロとしてまたプロデューサーとして、そして他のメンバーもグラハム・パーカーのバック等で同様にパンク〜ニューウェーヴに対応。マンもよりシンプルにルーツであるロックン・ロールに接近していくほか、ドラマーのテリー・ウィリアムスはニック・ロウとともにデイヴ・エドモンズとのロックパイルに合流。ホークウィンドからもレミーがモーターヘッドを結成(スティッフにも音源を残す)、マジック・マイケルもダムドのメンバーらとインディー・レーベル(スティッフと関連を匂わす)よりシングルを作るなど遠からずの存在であったりもしてくるのであります。そうした流れを知っていくと、このイベントでの組み合わせなんかも非常に興味深く思えてくるのではないでしょうか。

最後に今回の再発内容について。原盤収録アーティストの内、マジック・マイケルを除いたマン、ブリンズレー・シュウォーツ、ホークウィンドの3組に関してはLPに収録された音源から大幅に追加されて記載はないものの、CDにおいて3枚組、ほぼ当日のコンプリートと思われるセットの音源が収録されています。これまでアーティスト本人によるハーフ・オフィシャルな形でLPから落したと思われる音源がそれぞれのアーティストの音源部分のみの形でCD化されていましたが、さすがにマスター・テープを持つ本家EMIのお仕事といったところですか。各アーティストの当時の実際のセットリストからはスタジオ・アルバムを聴くだけでは伝わってこなかったライヴを本来の魅力としていた彼らのリアルな音楽性も伝わってきます。気になる人は急いでチェックを。EMIには今後もこうした重箱の隅を突きまくったマニア納得の音源の発掘を期待したいですね。




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