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ポール・マッカートニー『ラム』(1971年)<その2>
by 小川真一
かなり、思いっきり、いや
とてつもなく
間があいてしまったけれど、ポール・マッカートニー『ラム』の続編(第二回目)をば・・・
あらためて聞くと、ほんとうにいいアルバムだと思う。いまひとつ名盤扱いされない理由は、この
ダサダサなジャケット
にあるんじゃなかろうか。だってまるで貫禄ないんだもの。例えば、ジョン・レノンの『イマジン』と比べると・・・。これはちょっと相手が悪すぎるな。
でも、はっきりいって、リンゴ・スターのジャケットにも負けてる。
いや人生を勝ち負けで判断してはいけないけれど、もう少し考えてもよかったんじゃないだろうかと。ところが、この
ダサヨレ
こそが、アルバムの鍵を握っているのだ。最大のポイントとなるのは、
ポールの超手抜き主義なのだ。
ビートルズ時代に、多重録音やらテープのつぎはぎやら、サウンド・エフェクトやら、あれほどまでにスタジオ内で緻密な作業をやっていた人物のアルバムとは思えないほど
スッピンなサウンド。
「手抜き」というと身も蓋も桶もないけれど、肩の力を思いっきり抜いてリラックスして作った雰囲気がビンビンと伝わってくる(もちろんのこと
新婚ボケ
なんかじゃないぞ)。何を隠そうこれは、
シンガー・ソングライター宣言だったのだ。
いわば
人間宣言
で、「俺もう、素直なヒトでいくもんね」と高らかに歌い上げている。シンガー・ソングライターっていうのは、誰にも置き換えのできない個を歌うもの。だったら元ビートルズという名札はもちろんのこと、
「イエスタデイ」を作ったヒト
という表札すらも、余分なものになってしまうはず。
この思いきりの良さが名盤を作り出したのだ。そう思って聞くと、
てんでバラバラ
に聞こえた曲調も、すべてひとつの方向に向いているように思えてくる。一歩引くことで、時代によって風化しないアルバムを作った。なんちて、そこまで考え抜かれていたら、
それはそれで嫌味
のような気がしてきてしまう(笑)。
(小川真一)
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